桜色の人鳥

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即興小説part05【孤独と街灯】

最近、即興小説のお題厳しすぎやしませんかね……。

時間:15分
お題:孤独
要素:街灯

【孤独と街灯】
 誰も私を見ない。誰も振り向かない。誰も声を聴いてくれない。誰もが一人ぼっちだ。
 点々と続く街灯に照らされる、惨めな街は住人までもが真面目なほどに惨めだ。皆人を気に掛ける事は出来ない。日々自分の事だけで精一杯だからだ。
 さて、ここでどう生きようか。朝だろうが夜だろうか毎日考える。今日はどう生きればいいのか、どうすれば死なないのか。
 路地の隅の方に段ボールが落ちている、そしてその中には赤ん坊、そしてその親は既に死亡。赤ん坊は誰かが拾い、どこかへ売りさばくだろう。私もそれを気にしない。
 あっちの方では誰かがナイフで刺されている。恐らく何かしらの因縁でもあったのだろう。ここではこれも普通。
「これはいくらだい?」
「500円でいい」
「高いな」
「では300円まで落とそう」
 こっちではまた新しい子供が売られている。確かにあの子供は容姿もあまりすぐれているものでもないし、肉がついていない。500円は高いな。
 腹が減ったが、金はない。ならばどうする。落ちている物を食うしかあるまい。誰かを襲った所で私はそんなに強くない。ゴミを漁り、臭いを嗅ぎ、食えそうなものは飲み込んで胃を満たす。
 今日も何事も変わらぬ実に平和な日だった。そう思っていたのだが、なんという事か今私はナイフを突きつけられている。それも小さな男の子に。
 恨みを買うような事はした覚えがないのだが。忘れてしまっているだけであろうか? しかし、こんな子供相手なら私でも勝てそうだし怯える必要はないな。
 私は一言も発せず、その子供に近づいた。このままナイフを奪う気だった。しかし子供はにやりと気味の悪い笑みを浮かべると、そのまま後ろに下がった。
 どういう事か? と疑問を浮かべた瞬間、背中を痛みが駆け抜けた。恐る恐る振り向くと痩せ細った男がナイフを握っていた。そしてそのナイフは血で濡れていた。
 なるほど、二人で私を陥れた訳だ。まあここでは仕方ない。これが普通だ。ただ一つ、私はうらやましかった。この二人がうらやましかった。彼らは「二人」で私を襲った。彼らは少なくとも私を殺すまでは孤独ではない。ここでは普通ではない事。それがうらやましい。
 街灯に照らされながら私は思った。明日からどうしようか。
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*Comment

孤独 

おはよう!
人間は一人では生きられません。
孤独ほど寂しいことはありませんね。
主人公の乾いた心情と愛に飢えている気持ちが垣間見えました。v-17
  • posted by さやか 
  • URL 
  • 2015.02/24 09:25分 
  • [Edit]

Re: 孤独 

毎度コメントありがとうございます。
やはりコメントを頂くと次に執筆する時の励みになります。
嬉しいです(^_^)
  • posted by いさび 
  • URL 
  • 2015.02/25 01:49分 
  • [Edit]

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