桜色の人鳥

適当理論と小説置き場。たまに日記。小説を読むときはカテゴリ「目次」から。

Entries

即興小説part06【大好きな経験】

私の大好きな経験は、タバコを吸わない女性が私のタバコ咥えて火をつけて渡してきた事ですかね。

時間:15分
お題:大好きな経験
要素:イヤホン

【大好きな経験】

 耳の奥まで浸透し、脳まで到達した心地の良い音は、リズムに乗って駆け回る。脳内を上手い具合に刺激したその音は、私の心までをも捕まえ離さない。
 音の出所はポケットの中にある小さな音楽機器。少し古いため液晶の溝にはゴミが詰まっている。そこからイヤホンを通し私の耳までつながっている。
 昔から音楽が好きであったわけではない。むしろゲームや漫画等、少し引きこもりがちな趣味をしていた。そんな私も中学の頃に恋をした。彼女は綺麗な黒髪で、良く整ったショートカット。正に私の理想の女性そのものであった。
 しかしながら、あまり人と接する事が得意ではなかった為、話しかけるきっかけがなく、悶々とした日々を過ごしていた。そんな時に初めてラブソングというものを聞いた。現実では絶対に言えないであろうかぐわしい歌詞であったが、当時の私は素直に感動していた。
 聞くたびに彼女の姿を思い浮かべては笑ったり泣いたり、我ながら恥ずかしい。決して他人に見せてはいけない姿だった。
 ある日学校にこっそりと音楽機器を持ち込んだ。イヤホンを袖の中に通して耳まで伸ばし、一人歌の世界の中で夢を見ていた。
「何聞いてるの?」
 突然後ろから話しかけられびくりと怯えながら振り返ると、愛しの彼女がそこにたっていた。彼女は興味深げに私のイヤホンに目を落とすと、突然私の耳から奪い取り、自身の耳に差し込んだ。
彼女は目を閉じ、曲を黙って聞いている。その姿はまるで、どこかのお嬢様がクラシックでも聞いているかのように優雅であると感じた。
 しばらくすると彼女は目を開き、私に笑顔を向けこういった。
「この曲いいね」
 この一言がきっかけで私は今でもこの曲を延々と聞いている。
スポンサーサイト

*Comment

ラブソング 

ラブソングに寄せた、あこがれの彼女への想い。
少年の恋心が浮かび上がりますね。v-238
ほのぼのした気持ちになりました。
  • posted by さやか 
  • URL 
  • 2015.02/25 12:28分 
  • [Edit]

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

右サイドメニュー

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR