桜色の人鳥

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即興小説part08【アブノーマルな貯金】

執筆する時に『トイレ』と『トレイ』とか間違えますよね。
文字を入れ替えるだけで、意味が変わってしまうから気を付けねば。
『トレイで用を済ませ』なんて書いたらただの変人になってしまいますね。

時間:15分
お題:アブノーマルな貯金
要素:グミ

【アブノーマルな貯金】
 一つコトンと、私にとって子気味のよい音が耳に気持ちいい。これで一体いくらになっただろうか? 貯金箱の中の胃袋がまた少し膨らんだ。これを続けて数年、満腹になった貯金箱は既に数十を超える。
 一つ目の貯金箱の中身に関しては、期待と恐ろしさが潜んでいて、開けるのに少しばかりの勇気がいる。そろそろ開けなくてはいけないというのに……。
 一ヶ月に一度、給料が支払われるたびに「コンビニ」に行く。そこで買い物をして、家に帰って貯金をする。私にとって一番の楽しみだ。
 恐らくだが、私以上にこの趣味を楽しめる者はいないだろう。しかしながら出来る事なら同じ趣味を共有できる友がいてもそれはそれで楽しいだろうとは思う。
 好物のグミを食べながら、ネットで海外通販サイトを覗く。もちろん検索するはグミ。いつか世界中のグミを食べてみたい。

 会社の帰り道、偶然懐かしい友人に出会った。積もる話もあるだろうから飲みに行こうと誘われたのだが、あいにく給料日前。私は飲むのなら酒を買って家で飲もうと提案した。友人は少し迷ったようだが、顔を上げると笑顔で承諾してくれた。
 近くのスーパーでビールを買い、私の家まで移動。その道中友人は私といない間の武勇伝を自慢げに話していた。もちろん聞き流した。
 家のドアを開け、友人を中に入れると、甘いような渋いようなにおいがすると悪態をついてきた。何を言っているのか、このにおいこそ人生において最高の香りだというのに。
 ちゃぶ台の上でビールを飲みながら、軽く雑談をする。友人のどや顔が少々うざいが口にだすのはやめておこう。
 適当に相槌をうちながら話を聞いていると、友人が棚の上の貯金箱について聞いてきた。私は自分の趣味が貯金である事を告げると、友人は笑いながらお前らしいと馬鹿にしているのか褒めているのか分からない感想を告げた。
 私は少し顔をしかめて友人を軽く睨むと、悪い悪いと悪びれた様子のない矛盾した謝罪をし、いきなり立ち上がった。
 どうした? そう聞いたが友人は黙ったまま財布を取り出し100円玉を取り出した。それを持ったまま貯金箱に近寄る。
 まさか! やめろ! そう叫ぼうとしたがもはや手遅れ。友人は貯金箱の入り口に硬貨を投入してしまった。
 ああ、なんという事だ……。
 友人はへらへらと笑ったままいい事した、とでも言いたげである。
 もはや飲む気分ではなくなった私は、友人に無理を言って帰ってもらい、すぐさま貯金箱に駆け寄った。
 下の方についているゴム製のふたをねじ空け、上下に振って中身を取り出す。
 ぽろ……ぽろぽろぽろ……。
 中からは大小様々、大量のグミが出てくる。私はそれを一つ一つ丁寧に皿に選り分けた。
 そして最後に仲間外れの100円玉がころんと転がり、私はそれを憎たらしげにゴミ箱へ投げ捨てた。
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