桜色の人鳥

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初の試みGL小説【向日葵】

この前のBLに続き、初の試みで百合小説を書きました。
友人の方に百合を書いてみませんかと言われたのがきっかけで書きましたが。
百合小説を書かれている方、本当に申し訳ありませんでした。

【向日葵】
 あの方は何と言うお名前なのでしょう? 栗色の綺麗なショートカットをしていて、陽の下を歩くだけで、お花畑を連想してしまいます。
 きっと白いワンピースが似合うと私は考えます。
 彼女の隣を歩けたら私はどれだけの幸せに浸れるのでしょうか? 私が微笑むと彼女も笑いかけてきてくれる。その太陽に照らされ向日葵のような笑顔に私はきっと一撃でやられてしまうのでしょう。
 でもきっとこんな想像より、実際はもっとすごい事になる予感がします。
 ああ、神様。偶然にも彼女と同じ大学に入れてくれてありがとうございます。
 初めて見かけたのは入学式の帰り道、高校の頃の友達は皆就職し、周りに友達はおらず一人で帰ろうとしていました。
 他の学生達は積極的に声を掛け合い、早速遊びに行く約束をしたりしています。
 私はそれを卑しくも羨ましい目で見ていました。
 すると私と同じく一人で帰ろうとしている女性を見つけました。
 彼女は声をかけられても相手にしていないようで、無表情のまま帰ろうとしていました。
 自ら一人ぼっちを選択するとは何たる勇気でしょうか。私には到底真似できません。それに真似しなくたってぼっちです。
 私は彼女についていくようにそっと大学を出ました。
 後ろをついていく中で色々な事を考えました。今話しかけてみたら友達になれるかもしれない。そうしたらこの大学生活もひとまず安心できます。ですが、その勇気は私にはありませんでした。
 十字路にさしかかった時。ふと、何処からか音が聞こえてきました。携帯の音のようですが私のではありません。
 目の前を歩いている彼女が突然止まり、ポケットから携帯を取り出しました。
 私は追い抜こうと考えましたが、彼女がなぜか私を睨み付けてきたので自然な流れで左の道へ曲がり、彼女の通話が終わるのを待つはめになりました。
 ああ、神様。偶然にも彼女と同じ帰り道にしてくれて恨みます。
 角にしゃがみ込み、じっとしていると彼女の声が聞こえました。
 聞いてもいいものかと悩みましたが、私がわざわざ聞こえないところまで移動するのもおかしな話だと思い、その場で盗み聞きを働きました。
「大丈夫だよ。うん……友達も出来たから」
 相手は親からでしょうか?
「本当だって。うん、またね」
 心配かけまいと嘘までついて何と健気なのでしょう。私が友達になってもいいのですが、というより私も友達を作りたいのですが、彼女に睨まれたばかりなので出ていけません。
 彼女はもういなくなったでしょうか? 確認の為、顔だけ角から覗かせると彼女はまだいました。
 野良猫を抱き上げ子供のように喜んでいました。その笑顔は先程までの彼女から想像しがたいもので、私は目を離せなくなっていました。
 抱き上げられた野良猫は不機嫌そうに彼女を蹴飛ばしそのままどこかへ逃げていきます。
 野良猫の去った方をいつまでも寂しそうに見つめる彼女のしぐさもまた私の心をつかんで離しません。
 また彼女の笑顔が見たい。そう感じてしまう私はもう既に恋に落ちていました。
 それからは何度か声をかけようとしたのだけれど、やはり勇気が出ません。
 逆に彼女はいろんな方から話しかけられていますが、それをことごとく無視していました。
 どうして彼女は心を開かないのでしょう。
 もし彼女が笑ったのなら、皆彼女の事を好きになると思います。
 休日の朝、蒸し暑い夜を乗り切りようやく起床した私はシャワーを浴びて体を綺麗にしてから外出しました。
 お母さんからもらった日焼け止めを肌に塗り、太陽と戦います。
 しかしせっかく綺麗にした体はまた汗でぬれはじめ、私は太陽に白旗を降りました。
 特に目的もなく歩いていると、いつぞやの十字路で夢のようなものを目にしました。
 彼女が白いワンピースで現れたのです。しかも夢のようなものではなく現実でした。
 彼女は私を気にしていないようで、そのままどこかへ行こうとしています。
「あのお名前は何というのですか?」
 その一言がどうしても言い出せない。しかし、神様が偶然にも合わせてくれたのです。ここで言わねば二度目はいつくるのでしょうか。
 私はこっそり後をつけ、言い出すタイミングをうかがっていました。
 それにしても彼女は何処へむかっているのでしょうか? 
 太陽が容赦なく私の頭を焦がし、脳味噌を沸騰させます。
 もう諦めようかと思った頃、目の前に向日葵畑が見えてきました。
 彼女は向日葵畑の中へ入っていきます。
 ここなら誰も見ていません。言うならいましかない!
 そう思った私は全力で走り彼女に追いつこうとしました。
 彼女の背中まであと少し、というところで神様が私を蹴飛ばしました。
 運悪く大きめの石が地面に埋まっており顔を出していたのです。
 私は見事に転び、彼女を追い抜きました。
 ああ、なんという事だろう。こんな姿を見せてしまうなんてもう終わりです。
 そう思っていたのですが、彼女は……笑っていました。
 可愛らしい声でくすくすと顔を隠しながら笑っていました。
 私は何が起きたのか理解しようと努力しましたが、口が勝手に動いていました。
「お名前は何というのですか!」
 お腹に力がこもり、大きな声を出してしまいました。
 彼女は恥ずかしそうな顔をこちらに向け笑顔で答えてくれました。
 それから私たちは色々お話しをしました。
 例えば彼女は恥ずかしがり屋で、いつも声をかけられるのが怖かったそうです。
 もちろん私は抗議しました。
 すると彼女はそんな私を見てまた笑ってくれました。
 向日葵畑にまた一つ向日葵のような笑顔が生まれました。
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