桜色の人鳥

適当理論と小説置き場。たまに日記。小説を読むときはカテゴリ「目次」から。

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即興小説part12【ないものねだり】

今ブログ用に短い連載物書いてます。
それ以前に公募用の作品書かなきゃ(使命感)
それとたまにニコ生やってます。

↑最近の近況

時間:15分
お題:東京
要素:トイレ

【ないものねだり】
 僕は都会に染まる。
 そう決めたのは高校二年の夏休みだ。
 元々青森の田舎に住んでいたのだが、人生をここで終えたくないと思った。
 もっと広い世界で大きく羽ばたきたい。一度の人都会に染まりひょうひょうと生きよう。
 実際、高校を卒業してすぐ上京し、適当な仕事についた。
 休みも多く、暇な仕事だ。しかし、地元で一生懸命働いても到底及ばないほどの給料。
 改めて田舎の窮屈さを思い知る。
 僕が東京に来て一番驚いた事がある。それはトイレだ。
 地元ではボットン式のトイレとは名ばかりの糞捨て穴が主流だった。そこを覗けば糞が見えるし、臭いも酷いものである。
 虫も良く出る為、虫嫌いの僕にとってはトイレは拷問だった。
 ところが東京ではどうだ。どこに行っても糞捨て穴などない。借りたマンションの部屋のトイレですら水洗式の洋風トイレだ。
 匂いも芳香剤でどうにか出来るレベルだし、何より清潔感が違う。
 おまけにウォシュレットという人類の英知の結晶。これは感動した。
 ボタン一つでお尻を綺麗に洗い上げてくれる。
 自ら他人の尻拭いをしてくれるなんて賢いトイレだろうか。
 地元の友人とはもうほとんど交流がない。
 正直いって見下している。人生をそんな小さな場所で終えるなんてもったいない奴らだ。
 東京でできた友人は田舎をうらやましそうに語るが、僕はそれを否定する。
 絶対に行かない方がいい、もしどうしても行きたいなら縁を切るとまで言ってのけた。
 それほどまでに都会は素晴らしいのだ。
 五分歩けばコンビニがある都会は便利。
 五分車で走ればコンビニがある田舎は不便だ。
 だが、出かけ先で言われた一言が気になる。
「都会を素晴らしいなんて発想は田舎者だ」
 実際田舎者であるだけに反論は出来ない。
 では都会人は何を思うのかと問うと「田舎をうらやましがる」と言われた。友人と同じ事をいってのけるあたり、やはり都会の人の大多数は田舎をうらやましがるのだろうか。
 都会に染まる。つまり僕も田舎に憧れを持ってこそ遂に都会人になれるのだろうか?
 ないものねだりは未だに止まない。
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*Comment

 

心の描写が上手いと思いました

わたしも地方出身で(四国・高松)
今大阪に住んでますが
都会って便利ですよね
  • posted by ぴぴ 
  • URL 
  • 2015.03/01 11:36分 
  • [Edit]

人の芝生は青く見える 

ない物ねだりって誰にでもある心理ですよね。
田舎の人は都会に。逆に都会の人は田舎に引かれるのかもしれませんが、どちらも一長一短、それぞれが自分の居場所で満足できるのが一番なんでしょう。
15分で書けるショートショートの中にうまく心理が書き込まれてるなと思いました。v-295
  • posted by さやか 
  • URL 
  • 2015.03/02 09:32分 
  • [Edit]

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