桜色の人鳥

適当理論と小説置き場。たまに日記。小説を読むときはカテゴリ「目次」から。

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即興小説part03【裏切り】

今日3本目の投稿になります。
即興小説にて書きました

時間:15分
お題:裏切り
要素:ゴマ

【裏切り】

小さな世界、透明な壁の向こうに広大世界が広がって見えるが、もはや出る事はかなわない。ただ遅すぎた。
 残った仲間はごく少数、皆ここで最後を迎え、いずれは灰のようになって風に飛ばされ、いずれ外の世界に出る事を夢見ている。
「おはよう。今日も良くない天気だ」
「そうだな」
 話題ももはやつき、話す事等ない。天気だって真っ暗なまま明るい光を浴びた事などとうの昔の話。
 神様はもはや首をつって死んでしまった。
「俺たちは本当に外に出られるのだろうか?」
 その答えは誰にも分からない。誰もが考える事を辞め、日々眠ることなく縮こまっている。
「俺たちが生まれた時の事を覚えているか?」
「覚えているとも」
「夢にあふれていた、誰もが外に世界で役割を全うできると信じて疑わなかった。」
「そうだよな……あの頃はそれを信じていた」
 過去の話を持ち出すと、懐かしさで油が滲み出す。
 今では何を信じ、何に祈れば救われるのかそれすら分からない。
 中身のない会話を交わすなか、一言も発せずだまりこくっている奴が一人いる事に気付いた。
「なあ、大丈夫か?」
 声をかけると、そいつは油をにじませながら、振り返った。
「ああ、大丈夫さ」
 何とも頼りなさそうな声だ。何か怯えているようなそんな印象を受ける。きっと疲れているのだろう。
「少し休むといい」
 優しく声をかけるとそいつは申し訳なさそうに背中を向け横になった。その背中を何気なく眺めていると、ポロリと灰のように表面の黒色が剥がれ落ちた。
「まさか、ついに灰になり始めたか!」
 皆がそいつに注目を始めた。もしもこいつが灰になれるのなら、風に乗って外にでる事も夢ではなくなる。その一人目としての皆の希望になる。
 誰もが油をにじませ見つめていると、ぽろぽろと表面が剥がれ落ち、最後には真っ白になった。
 皆溜息をつかずにはいられなかった。
 あぁ、こいつは白ゴマだったのか……。

 
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*Comment

灰に、 

神様すらいない暗黒の世界の中で、ついに灰になってしまう恐怖と悲しみ……。
最後の白ゴマのオチが面白い!v-12
  • posted by さやか 
  • URL 
  • 2015.02/23 10:12分 
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