桜色の人鳥

適当理論と小説置き場。たまに日記。小説を読むときはカテゴリ「目次」から。

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【合作小説】

  黒木ノ桜:ピンク
田機田宗田:ブルー

今回はタキダ氏と共に「フリースタイル小説」に挑みました。

【合作小説】

喫煙室に入ったのは朝の8時。これから仕事がはじまるというのに、もう僕はここに1時間も居るけれども、まだ僕はここから出るつもりはない。
僕の前にいるこの男、いや、正確には斜め右前に立ち僕に背中を向けている男。黒いロングコートに黒い革靴、身長は僕より少し高いだろうか? わざとらしいくらい怪しい雰囲気を滲ませている。
その背中をみながら、僕は再びタバコを取り出す。口にくわえたと思えば、もはやライターはすぐそこにある。今日は何本目か?そんなことを考えるつもりもないし、考えて無駄だと思うのは、煙を肺にいれた直後に思いついた言葉だ。
腰を斜めに落とし顎に手を添えるようにしてタバコを吸っていく。決して目の前にいる男を意識している訳ではないとアピールするため視線を斜めに落とした。
この角度なら必ず出るはずだ。と、思ったらやっぱり出た。視線の先の床の一部が崩れはじめたかと思うと、床下に黒い穴が開く。そのタイミングを見計らって僕はポーズを崩さないように注意しながら、たばこを吸う腕を上げて叫んだ「カモン・ジュンジ!!」完璧すぎる召喚音声が休憩室の中に響き渡った刹那、床の下方からぬるりと出てきた人影が顔をあげる。ジュンジ・高田。ついにきたか。
それに反応するように目の前にいた男も「カモン・デヴィ!」と振り返りもせず叫んだ。すると男の後ろの床に黒い穴が出現しそこからまさにマダムという言葉が似合う老女が現れた。
あちらが召喚したデヴィ夫人が僕のジュンジをにらむ。ジュンジは笑っている。そりゃそうだ、僕が出したジュンジならデヴィの眼光にも耐えられる。世界一適当な男。計算通り、1時間前から、この展開は読めていた。
しかしそれは男も同じ。僕がジュンジを出した時点であちらも分かっている事だろう。それなのに逃げる事無くデヴィを出したという事はそれなりに考えがあるはずだ。ここで慢心してはいけない。臨機応変に立ち回るのだ。
僕はたばこを指に挟んだまま、男に言った「さっさとやろうぜ」すると、男の背中が翻る。鋭い眼光に、あごのひげの編み込まれた髭。ハードコアバンドのベーシストに似たような奴がいたけれども、ふんいきはまるで別物だ。
男は気合を入れるためか僕を脅すためか真意は分からないけども持っていたライターで編みこんだ自分の髭の先に火をつけてみせた。喫煙室に煙草以外の燃える匂いが充満する。しかしここで眉をしかめようものならこの男は調子にのり僕が追いつめられてしまう。それがどうしたとばかりに僕は男を睨み付けてやった。
「あつくないのか?」尋ねると、男は燃える顎を揺らす「あついね、そりゃ、あついにきまってるだろ」男はワナワナと震えながら隣のデヴィを指さす「いけ、デヴィ」すると、デヴィは男の燃える顎ヒゲに自らの愛犬を近づける。すると、やはり犬も燃えた。ワンワンキャンキャンいいながら全身が燃え上がる犬を抱え、デヴィは叫びながら僕に向かって犬を投げた「アトミックドッグフラッシュ!!」なにがフラッシュだ。
名前だけは立派だが所詮はデヴィ、衰えた筋肉で投げつけた犬の速度は僕でも捉える事ができる。
「遅いね」と一言余裕をもって煽りながら燃えている犬の火で次の煙草に火を点けてかわす。
「ギャンッ!」と痛そうな鳴き声を発して地面に叩きつけられた犬は駆け足でデヴィの足元に戻っていった。僕の行動によって男の精神的ダメージは相当なものだろうと男に視線を戻すと以外な事にまだ笑っている。どうやらまだ手はあるようだ。しかしそれを披露される前にジュンジで潰してしまえばいい。
「ゴージュンジ!ゴーゴー!」

僕の合図をきかっけにジュンジはそのばで跳躍した。それは、ものすごい、本当にものすごい跳躍だった。跳躍の瞬間、順次の足から発せられた9万ジュールの衝撃が喫煙室を破壊し、反動で順次はそのまま天井ごとふきとばした。マッハ10のスピードにそのまま雲をつきやぶり天をうちやぶり宇宙に向かう。そして、運が悪いことにその先にあった国際宇宙センターをぶちやぶり機内に突入した。慌てふためく船員とあふれ出す空気。各種警告ランプがなりやまない船内。映画だったらもはやラスト10分前という大パニックの船内で、ジュンジは笑いながら言った「ちょっとこれかりちゃうよ?」

「よし、そのまま潰してしまえジュンジ!」勝ちを確信した僕は胸を張って叫んだ。男もまずいと思ったのか汗を流し始めた。だがいくら待てどもジュンジが落ちてくる様子はない。違和感に気付いた僕はポケットから無線機を取り出しジュンジに連絡をとった。
「ジュンジ!応答せよジュンジ!」
必死に呼びかけるが聞こえてくる音声は耳障りなノイズと何かが暴れている音だった。その音が一際大きくなったかと思うと急に静かになる。そしてジュンジがようやく応答した。「エイリアンが……機内に……」その声を最後に通信が切れた。

連絡が途切れたISSの船内にはすでに腐臭がたちこめていた。壁という壁には、船員たちが残した惨劇のあとがのこされている。グラフティーアートのような血の痕跡は入り口から、船内、そして操縦席へと続いている。そして、その先にジュンジは居た。相変わらず世界一適当な笑みをうかべては要るものの、すでに片腕を失っている。
その傍らには金髪の少しキツイ顔をした女性がいた。
「ジュンジしっかりして!」
その時ばかりはキツイ顔をしていた女性も悲しげな顔をしている。目に涙を浮かべ必死にジュンジに呼びかけていた。だがジュンジは笑顔を保つのが精一杯のようで女性に声をかける事もできない。

女性はさらに声をかけた「ジュンジ!!」すると、ジュンジは失った腕を握りながら、笑いながら、信じられないぐらい声で叫んだ。それはもう、ジュンジじゃなかった。うしなった腕の中に手を入れたかと思うと、ずるりと肉のずれる音がひびく。苦悶に悶えながら取り出したのは、最近開発されたばかりの爆弾RE34。きっと、こいつで玉砕するきなのだ。
「おじさんエイリアンと遊んでいくから先に家に帰っててよ――」
女性には分かった。これが最後なのだと。そして一度自分を見失ったジュンジが見せた最後のジュンジなのだと。出来る事ならジュンジと最後まで……そう思うのは当たり前だ。だがどうしてジュンジの想いを否定できよう。出来るはずがない!
女性はジュンジに「地球で待ってる」と声をかけてその場から離れた。女性の背中を見送りながらジュンジは最後の笑みを浮かべた。

「こいつで終わりだ」ジュンジは手の平の爆弾のスイッチを押し、炸裂。かと思ったら、世界が急に歪みはじめた。ISSの壁がねじれまがり、まるで一流パティシエがやるとけた飴みたいにぐるぐるに巻き付いていて形をつくりはじる。みれば、ジュンジもおかしい、笑い顔の周囲がうずをまきはじめたかとおもうと、それは次第に中央に向かってぐるぐるを巻き付いていく、どうなっているのかなんてわかるわけはない、とにかく世界はグルグルなのだ。しかし、気が付いたことがある。ぐるぐるに回る世界が僕にまで届き、脳までがグルグルにまかれる手前で、ようやくこの世界の仕組みに気が付いた。
この世界は夢だ。空想だ。
喫煙室、謎の男、デヴィ、ジュンジ、宇宙、エイリアン、ポケットの中の無線機。あり得ないじゃないか。僕は僕じゃない黒木ノ桜の夢だ。空想だ。そしてこのストーリーは僕、いや私だけのストーリーではない。田機田宗田の夢である。空想である。二人の小説である。
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*Comment

 

面白かったんでまたやりましょー
  • posted by タキダソウタ 
  • URL 
  • 2015.10/21 12:41分 
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Re: タイトルなし 

ぜひゼヒ是非ZEHIー
  • posted by 黒木ノ桜 
  • URL 
  • 2015.10/21 20:00分 
  • [Edit]

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